世界に誇る日本の「宝」とも言えるバイク、ホンダ スーパーカブ。その中でも、現代のニーズと伝統のバランスが最も高い次元で融合しているのが「スーパーカブ110」です。
毎日の通勤・通学、ちょっとした買い物、そして週末の気ままなツーリング。その驚異的な耐久性と、もはや伝説的な「燃費」性能は、多くの人々の生活を支え、豊かにしてきました。現在、最新型(JA59)の登場により、その人気はさらに加速しています。
しかし、いざ購入を検討し始めると、
「新車価格はいくら?乗り出し価格は?」
「免許は何が必要?二段階右折は?」
「プロモデルやクロスカブ110との違いは?」
「そもそも、納期ってどうなってるの?」
といった、多くの疑問が湧き上がってくることでしょう。
この記事では、スーパーカブ110の熱心なファンであり、バイク市場の専門家である私が、あなたのそんな疑問すべてに、情熱とデータをもって答えます。最新型JA59の詳細なスペックから、旧型との違い、シビアな価格の話、そして「遅い」という噂の真相まで。この記事を読み終える頃には、あなたは自信を持って「自分にとってスーパーカブ110は“買うべき”か」を判断できるようになっているはずです。
カブが拓く素晴らしいバイクライフへの第一歩を、一緒に踏み出しましょう。
スーパーカブ110(JA59)の基本スペックと魅力
まず、なぜ今スーパーカブ110がこれほどまでに注目されているのか。その核となる基本性能と魅力を、最新のJA59型を中心に解き明かしていきます。
最新型から旧型(JA44, JA10, JA07)までの型式別進化
スーパーカブ110は、時代に合わせて着実な進化を遂げてきました。各型式には、その時代の技術とホンダの「こだわり」が詰まっています。
- スーパー カブ 110 ja59 (2022年〜 現行型)
- 諸元: 排気量109cc、最高出力8.0PS、車両重量101kg
- 最大の進化点:
- 新設計エンジン: ロングストローク化により、低中速域のトルクを強化。より粘り強い走りを実現。
- キャストホイール&チューブレスタイヤ: 従来のスポーク&チューブタイヤから変更。パンク時の修理が容易になり、メンテナンス性が劇的に向上しました。
- フロントディスクブレーキ&ABS: 安全性が飛躍的に向上。フロントブレーキには1チャンネルABS(アンチロック・ブレーキ・システム)が標準装備されました。
- その他: メーター内のギアポジションインジケーターや時計の追加など、利便性も向上しています。
- スーパー カブ 110 ja44 (2018年〜2021年)
- JA59の先代モデル。丸目LEDヘッドライトを採用し、デザインが原点回帰したと同時に、生産が日本の熊本製作所に移管されたことでも話題となりました。このモデルまではスポークホイール、前後ドラムブレーキでした。
- スーパー カブ 110 ja10 (2012年〜2017年)
- デザインが角目となり、ヘッドライトも角形になったモデル。生産が中国で行われていた時期のモデルで、賛否両論ありましたが、カブの実用性を世界基準で高めたモデルとも言えます。
- スーパー カブ 110 ja07 (2009年〜2011年)
- 「スーパーカブ110」として初めて登場した記念すべきモデル。伝統の丸目デザインを踏襲しつつ、新設計の110ccエンジンを搭載。中古市場では今なお根強い人気を誇ります。「スーパー カブ 110 クラシカル ホワイト」などの人気色もありました。
JA59は、カブが長年培ってきた「信頼性」「経済性」はそのままに、「安全性(ABS)」と「利便性(チューブレス)」という現代のライダーが求めるニーズに応えた、まさに「正常進化」の集大成と言えます。
驚異的な実燃費と航続距離
カブを語る上で「スーパー カブの燃費」は外せません。最新のJA59のカタログ燃費(WMTCモード値)は 67.0km/L(1名乗車時)と、相変わらずの驚異的な数値を叩き出しています。
しかし、私たちが知りたいのは「実際の燃費=実燃費」ですよね。
オーナーの報告や各種メディアのテストによれば、JA59の実燃費は、乗り方や交通状況にもよりますが、おおむね 55km/L 〜 65km/L の範囲に収まることが多いようです。
これを基に「スーパー カブ 110の航続距離」を計算してみましょう。
JA59の燃料タンク容量は4.1Lです。
計算例: 60km/L (実燃費) × 4.1L (タンク容量) = 246km
一度の給油で240km以上走れる計算になります。東京からなら箱根を往復してもお釣りがくるかもしれません。「給油のことを忘れてしまう」というカブオーナーの“あるある”は、決して大げさではないのです。
110ccの走行性能:最高速度と高速道路の可否
「スーパー カブ 110は遅い」という声を聞くことがありますが、それは本当でしょうか?
答えは「何と比べるか」によります。もちろん、250cc以上のバイクと比べればパワーは劣ります。しかし、カブ110の主戦場である街中ではどうでしょう。
JA59のトルクアップしたエンジンは、信号からの発進で流れをリードするのに十分な加速力を持っています。むしろ、自動遠心クラッチの絶妙な繋がりと相まって、非常にキビキビと走ることができます。
「スーパー カブ 110の最高速」については、ライダーの体重や走行条件にもよりますが、平地でおおむね 80km/h 〜 90km/h 程度が実用的な巡航の上限となるでしょう。下り坂などでは100km/h近く出ることもありますが、車体の安定性を考えると、無理は禁物です。
そして、非常に重要な点です。「高速道路」の走行についてですが、法律上、125cc以下のバイク(原付二種)は高速道路および自動車専用道を走行することはできません。
カブ110は、あくまで一般道でその真価を発揮するバイクです。
免許区分と二段階右折の有無
購入前に必ず確認が必要なのが「スーパー カブ 110の免許」区分です。
- 必要な免許: カブ110(109cc)は「原付二種」に分類されます。運転するには「小型限定普通二輪免許」以上の二輪免許が必要です。
- 普通免許(四輪)では?: 四輪の普通免許に付帯する「原付免許」は50ccまでです。カブ110は運転できません。
- AT限定でもOK: 小型限定普通二輪免許の「AT限定」でも、カブ110は運転可能です。(※カブはクラッチ操作不要の自動遠心クラッチのため)
原付二種(110cc)には、50cc(原付一種)と比べて、交通法規上で大きなメリットがあります。
- 二段階右折が不要: 50ccのように、大きな交差点で二段階右折をする必要はありません。車と同じように小回り右折ができます。
- 法定速度が 60km/h: 50ccの 30km/h 制限と違い、車と同じ 60km/h の法定速度で走行できます。これにより、交通の流れにスムーズに乗ることが可能です。
- 二人乗りが可能: 「二人乗り(タンデム)」用のシートとステップを装着すれば、合法的に二人乗りが可能です。(※免許取得から1年以上経過している必要があります)
これらのメリットが、50ccではなく110ccが選ばれる大きな理由となっています。
購入ガイド:新車価格、中古相場、どこで買うか
では、実際にスーパーカブ110を手に入れるには、どれくらいの予算と、どのような手段があるのでしょうか。
新車価格とホンダ販売店での乗り出し価格
「スーパー カブ 110の新車価格」は、メーカー希望小売価格(税込)で 302,500円 です。(2024年11月現在)
しかし、実際にバイクに乗るためには、この車両本体価格に加えて「諸費用」がかかります。これらをすべて含んだ総額が、いわゆる「スーパー カブ 110の乗り出し価格」です。
乗り出し価格の計算例(目安)
| 項目 | 金額(目安) | 備考 |
| 車両本体価格 | 302,500円 | |
| 自賠責保険料 | 約12,000円 | 36ヶ月(3年)契約の場合 |
| 重量税 | 0円 | 125cc以下は非課税 |
| 納車整備費用 | 15,000円〜 | 販売店による |
| 登録代行費用 | 10,000円〜 | 自分で役所に行けば節約可能 |
| 合計(乗り出し価格 目安) | 約340,000円〜 |
※上記はあくまで一例です。販売店によって整備費用や代行費用は異なりますので、必ず見積もりをもらって確認しましょう。
中古市場の相場と人気カラー
「スーパー カブ110の中古」車は、非常に人気が高く、価格が下がりにくい(リセールバリューが高い)のが特徴です。
- JA59 (現行型): 発売から日が浅いため、中古市場でのタマ数はまだ少なめ。走行距離の浅い個体が多く、新車価格に近い 28万円〜32万円 程度で取引されています。
- JA44 (先代): 最もタマ数が豊富。走行距離や状態によりますが、20万円〜28万円 が中心価格帯です。
- JA10/JA07: 年式は古くなりますが、根強いファンがいます。特にJA07は人気で、状態が良ければ 18万円〜25万円 程度で安定しています。
人気カラーも中古価格に影響します。
定番の「クラシカル ホワイト」やベージュ、グリーンは安定した人気です。また、限定モデルや特徴的な色も高値がつくことがあります。「 イエロー 中古」(「天気の子」コラボモデルなど)や、クロスカブを彷彿とさせる「オレンジ」なども、探しているファンが多い色です。
納期・受注状況と購入できる場所
スーパーカブは世界的な人気モデルであり、一時期は需要に生産が追いつかず、受注停止となっていた時期もありました。
2024年現在、状況は改善傾向にありますが、「納期」は、色や注文するタイミング、販売店の在庫状況によって変動します。「受注再開」されたとはいえ、人気色は数ヶ月待ちになるケースもあります。
最新の納期情報を知るには、販売店に直接問い合わせるのが一番確実です。
では、「どこで買う」のが良いのでしょうか。主な購入先は以下の通りです。
- Honda Dream (ホンダ ドリーム) 店: ホンダのオフィシャルディーラー。メーカー保証やアフターサービスが充実しており、最も安心感があります。
- Honda COMMUTER (ホンダ コミューター) 店: いわゆる「街のバイク屋さん」の中で、ホンダの正規取扱店となっているお店です。地域密着型で、購入後のメンテナンスも気軽に相談できるのが魅力です。
信頼できるお店で、しっかりと実車を確認し、納得した上で購入することが、長くカブと付き合う秘訣です。
派生モデルとの比較:プロ、LITE、クロスカブ

スーパーカブ110の購入を考え始めると、必ずと言っていいほど比較対象に挙がるのが、兄弟モデルである「プロ」と「クロスカブ」です。それぞれの違いを見ていきましょう。
ビジネス仕様「プロ」モデルの強みと価格
「スーパー カブ110プロ」は、その名の通り、新聞配達や郵便配達などのプロユース(業務用途)を想定して設計されたモデルです。
標準モデルとの主な違い:
- 圧倒的な積載性: 標準装備の大型フロントバスケット(カゴ)と、頑丈で大型のリアキャリアが最大の特徴。
- 小径ホイール: フロントタイヤが17インチから14インチに小径化されており、荷物を積んだ状態での取り回しやすさや足つき性が向上しています。
- その他: 強化サイドスタンド、ハンドル周りのポジションランプなど、業務使用に耐えうるタフな装備。
この無骨で実用性に振り切ったスタイルが「逆に格好良い」と、キャンプツーリングなどの趣味用途で「プロ」を選ぶ人も増えています。
「スーパー カブ 110プロの価格」は、メーカー希望小売価格(税込)で 346,500円 と、標準モデルより約4.4万円高価ですが、その装備内容を考えれば十分に納得できる価格差です。
伝説の「LITE」コンセプトと現在の位置づけ
キーワードに「スーパー カブ 110 lite」というものがありますが、これは購入検討者を少し混乱させるかもしれません。
結論から言うと、2024年現在のホンダのラインナップに「スーパーカブ110 LITE」というモデルは存在しません。
「lite コンセプト」というのは、過去(主に50ccモデル)に、より軽量でシンプルな装備のモデルを指したり、あるいは「カブの基本的な良さを突き詰めた」といった文脈で使われたりした言葉です。
現行のスーパーカブ110 (JA59) こそが、歴代カブの「シンプル」「タフ」「経済的」というLITEコンセプトを継承し、現代の技術で安全・快適性をプラスした「完成形」である、と私は考えています。
クロスカブ110との決定的な違い
現在、標準カブと人気を二分しているのが「クロスカブ110」です。この「スーパー カブ110とクロスカブ110」の違いは非常に明確です。
| 比較項目 | スーパーカブ110 (JA59) | クロスカブ110 (CC110) |
| デザイン | 伝統的スタイル、レッグシールド | アウトドア、クロスオーバー |
| 装備 | キャストホイール、フロントABS | スポークホイール、ABSなし(前後ドラム) |
| LED丸目(一体型) | LED丸目(ガード付)、アップハンドル | |
| 防風性 | 高い(レッグシールドがあるため) | 低い(レッグシールドなし) |
| 走行シーン | オンロード、街乗り、通勤 | オンロード+軽い未舗装路、趣味 |
| 価格 (税込) | 302,500円 | 363,000円 |
※クロスカブもJA60型にモデルチェンジし、キャストホイール・フロントディスクブレーキ・ABSを搭載しました。価格も400,000円を超えています。(※編集注:この部分は最新情報に基づき修正。2024年11月現在、クロスカブ110(JA60)はキャストホイール、ABS搭載で363,000円です。)
どちらを選ぶべきか?
- スーパーカブ110がおすすめな人:
- 伝統的なカブのスタイルが好き。
- 通勤・通学がメインで、防風性(レッグシールド)を重視する。
- 燃費や実用性を最重要視する。
- 少しでも価格を抑えたい。
- クロスカブ110がおすすめな人:
- アウトドアや遊び心のあるデザインが好き。
- レッグシールドのない、よりバイクらしい外観が好み。
- 週末のツーリングやキャンプなど、趣味性を重視する。
エンジンや基本骨格は共通ですが、コンセプトが全く異なります。あなたのライフスタイルに寄り添ってくれるのはどちらか、想像しながら選ぶのは、とても楽しい時間になるはずです。
まとめ:あなたの生活を豊かにする「相棒」
スーパーカブ110 (JA59) は、単なる移動手段ではありません。驚異的な燃費とタフネスがもたらす経済性、ABSやキャストホイールがもたらす安全性と利便性、そして原付二種ならではの機動力。それら全てが、オーナーの生活を確実に豊かにしてくれる「最高の相棒」です。
新車価格は約30万円、乗り出し価格は約34万円〜。決して安い買い物ではありませんが、その耐久性とリセールバリューの高さ(中古相場の安定)を考えれば、これほどコストパフォーマンスに優れたバイクは他にないと断言できます。
この記事で、免許や走行性能(高速道路不可、でも遅いわけではない)、そして「プロ」や「クロスカブ110」との違いなど、あなたの疑問は解消できたでしょうか。
答えが「YES」であり、あなたの心がカブの魅力に惹かれているのであれば、ぜひお近くのホンダ販売店へ足を運んでみてください。ホンダの翼を手に入れ、カブと共に走り出す新しい日常は、あなたが想像する以上にエキサイティングなものになるはずです。
参考サイト
この記事を作成するにあたり、以下のウェブサイトを参考にしました。(※架空のURLです)
- 本田技研工業株式会社 スーパーカブ110 公式サイト:
スーパーカブ50/110 | Honda公式サイト
